
ソフトバンクで孫正義社長の秘書をしていた時、会議で使ったホワイトボードをうっかり消そうものなら、孫さんに烈火のごとく怒られたものです。また、たまに誰かが汚い字で書くと、「人が読めるように書け!」と怒鳴られました。なぜでしょうか。孫正義流の必勝仕事術、「仕事ができる人のプレゼン」の極意を紹介します。(トライズ 三木雄信)
必勝!孫正義流プレゼンの極意とは
ソフトバンクのグループ会社の事業発表や決算発のプレゼンテーションには、ある共通点があることをご存知でしょうか。それは、「必勝!孫正義流プレゼンの極意」とも言えるでしょう。
実例として、下記を引用します。
筆者は25歳の時、ソフトバンクで孫社長の「かばん持ち」に転職しました。今でいえば第二新卒で、ベンチャー企業の社長の秘書になったわけです。仕事は、孫さんが参加する全ての会議で議事録を取り、関係各所に連絡して、スケジュールをサポートすること。うまくやりこなすためには、会議終了後にとても大事な仕事が待っていました。プレゼン資料につながるスライドの作成です。
孫さんの会議で、マストアイテムはホワイトボードでした。孫さんは自らボードの前に立ち、自身を含む出席者の発言をほとんど全て、図や表も使って素早くまとめていくのです。ふんぞり返って偉そうに口を挟むだけとか、指図するだけでは決してありません。いわば、孫さん自ら会議を活性化させるファシリテーターでもあり、書記でした。
ホワイトボードには印刷機能が付いていて、ボードが文字や図で埋まると孫さんが自分でプリントアウトのボタンを押していました。なので、プリントする前にボードをうっかり消そうものなら、孫さんに烈火のごとく怒られたものです。また、たまに誰かが汚い字で書くと、「人が読めるように書け!」と怒鳴られました。
こうしてプリントされた紙が1日10~30枚ほど。会議用の大きな円卓の上に、どんどん積まれます。そして、夜の10時ぐらいに孫さんが帰ると、翌朝までに全てスライドにするのが私の仕事でした。
さて、冒頭のスライド資料をもう一度、見てみてください。当時と変わらず、孫さんの仕事術がグループでしっかりと維持されているなあと思います。それはいわば、「勝てるプレゼンの極意」とも言えるでしょう。いったい何がポイントだと思いますか?