11月22日、ムーディーズが「アイルランドを複数段階格下げの可能性」と発表、その後「フランス格下げ」という噂も流れたことで、ユーロは急落。格下げの「見解」や「噂」でなぜこれほど大騒ぎに?
フランスがAAA(トリプルエー)から転落か?
ユーロ/円の格下げショックに備えろ!
「機関投資家(あるいは金融商品)によっては、債券の格付けが基準以下になると自動的に売却するルールがあります。また、一定の格付け以下の債券は担保能力がなくなってしまうので融資が滞ることも。このように格下げは甚大な影響があるので、『ネガティブ・ウォッチ(格下げの含みを残しながら様子を見ること)』という事前警告を表明するのが一般的。警告が出た時点で債券価格は下落し始めるのです」(海外の投資事情に詳しい広瀬隆雄さん)
金融危機以降、ユーロ諸国の格下げが目立つ(左表参照)が、次にヤバいのは?
「格下げされる国はファンダメンタルズが急激に悪化した国。例えば、ギリシャは旧政権による虚偽の財政報告が発覚、アイルランドは不動産会社への融資が焦げ付いた銀行を救済して政府の財政が急激に悪化した。不動産バブルが弾けたスペインはアイルランドと同じ道を辿るリスクが高い。一方、フランスやイタリアはゆっくりとしか事態が展開しない『スローモーションの危機』。今後、ジリジリと影響が出てくるのでは」
どちらにしても、今後もユーロ圏の格付け動向に目を光らせておく必要がありそうだ。
(文/山田大介)
※この記事は2010年12月21日(火)発売の月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』2011年2月号に掲載。2月号の特集は「いちばんわかりやすい 2011年大予測」。特別付録はいま話題の「くりっく株365超入門BOOK」。