ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
シリコンバレーで考える 安藤茂彌

2015年に日本の財政破綻が発端となって、日本発の金融危機が起こるのか?

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第41回】 2011年3月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3
nextpage

 日本では消費税の10%への引き上げですらできていない。年金改革は議論すら始まっていない。改革を実施すれば国民の一部で既得権の剥奪が生じるのは避けられない。悪者になった政党は選挙に負ける。政党は自分の身可愛さに、国民に心地の悪いことは発言しない。だが、政党の思惑とは別に世界が日本を見る目は日増しに厳しくなっている。

 貯蓄を食い潰した時の資金調達は日本に不利になる。日本国債の平均利回りは現在1.7%程度と低利であるが、日本政府が外債を発行しようとすれば海外の投資家は高い利回りを要求してくるだろう。

 格付けで見ると、米国債はAAAで日本国債はAA-である。格付けの高い国は低金利で発行できるが、格付けの低い国は高金利で発行せざるを得ない。米国債の利回りは3.8%程度である。米国債より信用度の低い日本国債がそれ以上の金利を要求されても不思議ではない。国債の利払い費は現在でも10兆円に達する。3倍の利回りを要求されると一気に30兆円に膨らむ。

 どの水準の金利になるかはヘッジファンドが決めるだろう。「日本は危ない国だ」というレッテルを貼られると、ヘッジファンドがクレジット・デフォルト・スワップを使って、日本国債の価格を下落させ、金利を上昇させる。日本政府に金利の決定権はない。

 国債価格の下落は日本の金融機関の体力を弱める。国債価格が下落したら日本の金融機関は評価損を立てざるを得なくなるし、赤字に転落すれば国際的な金融機関規制であるBIS規制で自己資本を積み増さざるを得なくなる。体力の弱い地方金融機関から危機に陥っていく。だが日本政府には銀行救済に投入できる公的資金はない。

previous page
3
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

「シリコンバレーで考える 安藤茂彌」

⇒バックナンバー一覧