ここが難しいところです。旗印は必要ですが、その旗印が小さくて陳腐なものであれば、誰からも注目されないどころか、かえってマイナスです。また、その旗印の意味するところが狭いと選択の幅が狭まり、先がなくなるわけです。
だから、どれだけ注目度の高い旗印を選ぶことができるか、あるいは、応用範囲の広い旗印を選ぶことができるかが重要なのです。
選び取るべき価値の高い専門性は、何かの技術領域とか職能領域を核としながらも、これを超える汎用性を持ったものである必要があります。○○技術の専門家であると同時に、プロジェクトマネジメントに長けている、といった具合です。むしろ、「プロジェクトマネジメントのプロ」といった専門性のほうが高く評価されることになると思います。
すなわち専門性選択の二番目の観点は汎用性です。これは特に会社を辞めることを想定するととても大切になります。こういった、汎用性が高く、かつ市場価値の高い旗印の掲げ方の例を次で紹介しましょう。
プロジェティスタというプロが
イタリアにいる
イタリアに、「プロジェティスタ」と呼ばれる一群の人たちがいます。聞きなれない言葉かと思いますが、これは非常に興味深い旗印なのです。
プロジェティスタは、プロジェクトマネジメントを職務とするイタリアに見られる独立したプロフェッショナルたちのことです。いわば、一人親方のような請負業者です。
イタリアでは企業の大半が中小零細企業です。95%以上が従業員9人以下の会社です。そして、全雇用者のうち4分の1が個人自営業者なのです。そして、大企業も含めて、極めて同族経営が多いのも特徴の一つです。
もう一つのイタリアの産業の特徴は、クラスター化です。特定分野に関係する同等規模の零細企業群が同じ地域に集積して、緊密なネットワークを形成しています。
一つのクラスターの中では、一つの会社の社内外を問わないネットワークによって技術人材の不足を補完しています。地域、地域で、専門家同士の稠密な人間関係が築かれているのです。
イタリア人はそもそも、組織のために個人がいるなどとは考えません。企業の存在意義は家族の利益のためであり、個人が豊かに、幸せに生きるための手段なのです。
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