サッカー好きならば、「ファンタジスタ」という言葉を知っているでしょう。ごく一部の創造性豊かな、華のあるプレー(主にFWとしての切れのある攻撃)ができる選手のことをそう呼びます。
何よりも大切なことは創造性です。元々はアドリブのうまい芸人に対して使われていたという説もありますが、臨機応変に人の驚くようなパフォーマンスができることが何よりも称賛されるお国柄を反映しています。
産業界におけるファンタジスタとも呼ぶべき存在がプロジェティスタです。彼らも最初からプロフェッショナルであったわけではありません。
まずは企業の中でスペシャリストとして育ちます。しかし、先に述べたようにイタリアの会社は大半が中小零細企業です。そんなに人材が豊富なわけはありません。そこで、少し優秀で見どころがある人材には、ありとあらゆるそれまでの専門を超えたアサイン(割り当て)がなされます。好き嫌いにかかわらず多能工化を志向せざるを得なくなるわけです。
最初は何かの分野の狭いスペシャリストもいろいろな経験を積むうちにマネジメントや経理、企画などさまざまな知識と能力をも磨き、超多能工になっていきます。自己完結的にいろいろなことができるようになった有能人材であっても、家族経営の中ではそう簡単には経営者になれません。そうなると、どこかの時点で会社を飛び出して独立ということになるのです。
そしてプロジェティスタという旗印を掲げ(ファンタジスタ同様、自分で名乗るわけではありません。周りがそのように尊敬を込めて言うだけです。本人は普通に“コンサルタント”を名乗る例が多いようです)、企業が求めるさまざまなプロジェクトを請け負い、人を集め、創造力を発揮して、そのプロジェクトを成功に導くのです。
彼らはそもそも技術者ですから、得意な分野というものがあります。しかし、単なる技術者ではなく、プロジェクトマネジメントを仕切るリーダー人材として育つわけです。
たとえば、こうした存在になるのはどうでしょうか。必ずしも会社を辞めて独立する必要はありません。組織の中にあっても、事を企てそれをやり切るプロフェッショナルとして、「プロジェティスタ」という旗印は何物にも代え難いものになると思います。
(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)
<誌上キャリアカウンセリングの募集をしています>
このコーナーでは、下記のメールアドレスにて、野田稔さん宛の質問を募集します。キャリアに関する悩み、記事内容に関する質問などに関して、適宜取り上げ、誌上でお答えします。誌上カウンセリングですので、直接のやり取りはありません。またお名前や具体的な社名などは公表しませんし、個人や企業が特定されるような記述は極力避けるよう配慮しますが、どうしても記載してほしくないことは、万が一を避けるために、メール文面にご記入されないようにお願いします。
なお、匿名での質問でも構いません。どの質問を取り上げるか取り上げないか、また単独の扱いか、同種の質問を同時に扱うか、いつ扱うかはすべてお任せいただきます。そのため、扱わない場合もありますし、すぐにお答えするかどうかはわかりません。その点はご容赦ください。
メールアドレス:dolcd30@gmail.com



