30代では修羅場を自分で作り、乗り切る経験をすることこそが40代以降の糧になっていくのです

30代は最後に
あがいてみるべき10年

 人間は誰でも、幸せになることを目的として生きているのだと思います。だからでしょうか、最近は『幸福学』というものがとても流行っています。では、人はどうすれば幸福になれるのでしょうか?

 慶応義塾大学大学院の前野隆司教授はその著書『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』で、「日本人1500名の意識調査を基にした研究によれば、人間の幸福を決める因子は大きく4つの要素に分けられる」と説いています。

 その4要素とは、「やってみよう!」因子、「ありがとう!」因子、「何とかなる!」因子、「あなたらしく!」因子です。

 重要なことは、“地位財”と呼ばれるものを人生の目標やゴールに置くと、人間は本来的に幸せになれないということです。地位財とは1にお金、2に社会的地位……もちろん、出世もこれに含まれます。そうした地位財ではなく、非地位財を動機の源泉にすべきだという議論なのです。前野先生の4因子も、この非地位財に含まれます。

 お金や地位といった他人との比較が容易な幸せではなく、本来の自分らしい幸せを追求すべきだというわけですが、これが昨今の幸福論の大きな流れです。

 確かに一理あります。私もその通りだと思います。ただ、本連載を始めるに当たって、もう一度原点に立ち返って、また自分が30代だった時のことを思い出して考えてみました。

 結論としては、半分はその通りだと思いつつも、半分は30代には当てはまらないかもしれないと思いました。