30代で見えているのは本来の地平ではない、その延長線上に未来を描くな世の中で光る存在となっている人は人生の先取りをしているようです。皆さんの職場で30代の方を見て、自ら光り輝こうとしている人はいますか?(写真はイメージです)

30代の延長線上に
未来はない

 30代とは、人生においてどのようなステージでしょうか。以前のように定年を60歳と考え、定年後は余生と捉えるのであれば、30歳で折り返し地点ですから焦りも覚えるでしょう。

 例えば、人生が今よりもずっと短かった江戸時代末期。幕末の志士は皆、20代後半から30代に活躍しました。日本の近代化を図るため体制崩壊を企て、片や旧体制を守るべく、その身を散らしました。

 今、NHK大河ドラマでは西郷隆盛が主人公の「西郷(せご)どん」が放映されています。この後、西郷は波乱の人生を歩みます。二度にわたる遠島(島流し)を経験し、その後官軍に加わり参謀となります。1868年3~4月にかけて、勝海舟と交渉して江戸城の無血開城を決め、明治時代を誕生させたのは、彼が40歳になって間もなくの時でした。

 そして9年後、西南戦争で敗れ、西郷隆盛は切腹をします。ちなみに高杉晋作が病死したのは27歳、坂本龍馬が暗殺されたのは31歳、近藤勇が処刑されたのは34歳の時でした。

 1184年に生まれた幸若舞*「敦盛」**の中の一節、「人間五十年」は織田信長で有名になりました。それから長らく、人生を50年スパンで捉えるのが基本的な考え方になりました。

(*)幸若舞…日本の中世芸能の1つ。室町時代にはやった。
(**)敦盛…源平合戦の一戦となった一ノ谷の戦いで、源氏の熊谷直実が平敦盛を討つ。その後、無常を感じて熊谷が出家した話を脚色したものと言われている。