北朝鮮の核は実戦配備レベル、有効な対抗手段はあるか北朝鮮の核実験を受け、国際社会が一致して、断固として対応していくことが求めらると声明を発表した安倍総理 Photo:首相官邸HP

 北朝鮮は9月9日午前9時30分頃、咸鏡北道吉州郡豊渓里の地下核実験場で5回目の核実験を行った。それによる人工地震の規模を日本の気象庁はマグニチュード5.3(中規模の地震)としており、約100km離れた中国吉林省の国境地帯でも揺れが感じられた。

 その威力は10キロトン(爆薬1万t相当)程度と韓国国防省は見ているが、元米国家安全保障会議アジア上級部長のM・グリーン氏は「20キロトンに及ぶ」と述べている。

 核爆発を起こすには今日の技術でウラン13kg、プルトニウムなら4kg以上が必要で、その量の核物質を使えば自ずと広島型の威力13キロトン、長崎型の23キロトン程度になる。

 ところが北朝鮮は2006年10月9日の第1回核実験の前に中国に対し「威力4キロトンで実験する」と通知していた。これは核物質全体に連鎖反応が及ぶ前に一部を吹き飛ばし、威力を小さくする「威力制御」の技術をすでに持っていたことを物語る。ただ初回だけに制御が効きすぎたのか、威力は1キロトン以下だったようだ。

 北朝鮮はその後3回の核実験でも制御を効かして、4キロトンないし6キロトン程度(米、韓国の推定)の威力で行ってきた。だが今回は10キロトンないし20キロトンの威力であったことは、核兵器開発の実験用に威力を抑えた核爆発ではなく、威力制御をしない実戦用の核弾頭を試験した、と考えられる。

 北朝鮮核兵器研究所は声明で「弾道ロケットに装着できるよう標準化、規格された核弾頭の性能や威力などを最終的に確認した」と発表した。試作品の段階を終え、連続生産される制式兵器として採用するテストだから、威力も最大で行ったのだろう。