◇「動く人」と「動かない人」、二極化の時代へ

 アベノミクスが2013年4月に本格始動して以降、日経平均株価は政権発足前に比べてほぼ2倍になった。一方で、「恩恵を受けたのは一部の富裕層だけ」「好景気になっても給料は上がらない」といった批判も起きている。

 しかしここで重要なのは、アベノミクスがいいか悪いかではなく、政策の変化をチャンスと捉え、動くか否かである。アベノミクスの恩恵を受けているのは、新しいことに挑戦し、投資や事業をはじめる行動的な「動く人」だ。逆に、消費意欲が低く、将来に不安を抱え、貯金することに終始する「動かない人」は、そのような恩恵を受けることはできない。

 残念ながら、日本の約8割はこの「動かない人」に該当する。だが、少子高齢化の時代で生きのこるためには、景気が悪くなったことを誰かのせいにして悲観的になるのではなく、ヤンキーの虎のようにリスクを取り自ら動くことが必要不可欠だ。著者はこれからも、「動く人」を積極的にサポートしていきたいと考えている。

一読のすすめ

 地方経済を支えるヤンキーの虎が成長した根幹には、日本の大企業がこの20年失っていた事業意欲がある。ヤンキーの虎の事業意欲こそが日本経済の今後を左右すると考える著者は、投資家の視点からそうした企業を応援し、彼らのようにリスクを取り、自ら動く人が増えることを願っている。「地方経済」や「投資」といったキーワードに興味や関心がなくとも、これからの少子高齢化時代に生き残っていくのはどのような人たちなのか、考える良いきっかけとなる一冊である。

評点(5点満点)

著者情報

藤野英人(ふじの・ひでと)

 レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者。

 1966年、富山県生まれ。90年早稲田大学法学部を卒業。野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)を経て、96年ジャーディンフレミング投信・投資顧問(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)に入社。中小型株のファンドの運用に携わり、500億円を2800億円にまで殖やすという抜群の運用成績を残しカリスマファンドマネージャーと謳われる。2003年4月レオス・キャピタルワークスを創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。現在、運用している「ひふみ投信」はR&Iファンド大賞国内株式部門で4年連続入賞、さらに「ひふみ投信」「ひふみプラス」を合わせた、ひふみ投信マザーファンドの運用総額は1000億円を超えている(2016年3月現在)*。ベンチャーキャピタリストでもあり、自身が創業して投資をしたウォーターダイレクトは上場を成功して、現在は同社の取締役。また日本取引所のJPXアカデミーフェローも務める。明治大学商学部兼任講師。主な著書には『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。』『儲かる会社、つぶれる会社の法則』(ダイヤモンド社)、『スリッパの法則』(PHP研究所)、『投資バカの思考法』(SBクリエイティブ)、『運用のプロが教える草食系投資』(共著:日本経済新聞出版社)などがある。

*ひふみ投信マザーファンドの運用総額に関しては、刊行当時のものであり、最新情報(2017年4月28日時点)では2000億円を超えている(「ひふみプラス」2017年4月度月次運用報告書参照)

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