スクールカースト頂点も卒業後は貧困…ニッポン階層社会の現実スクールカーストで「1軍」の地位を得ても、社会に出れば2軍、運が悪ければ最下層に転落する人も。一方、スクールカースト3軍から、社会に出た後に1軍に“出世”するケースもある。学校での階層と社会に出たあとの階層は、それぞれどんな特徴があるのだろうか(写真はイメージです)

若者の貧困や格差の拡大が叫ばれて久しい。社会的な階層とはいつごろから、何を要素に決まるのか。『名前のない女たち 貧困AV嬢の独白』(宝島社)などの著書もあり、貧困問題について第一線で取材を続ける中村淳彦氏と、『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)を上梓した北条かや氏。2人の気鋭ライターが、スクールカーストとその後の社会的階層の関係について語る。(構成/清談社)

中学生の時点で弱いオスは
女子から排除される

中村 今回のテーマは「スクールカーストとその後の社会的階層」について。主に中学時代のクラス内の立ち位置と、その後のライフステージの関連を考えていきます。北条さんは新著、『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)でもスクールカーストについて触れていますよね。

北条 はい。本書では、評価経済社会のなかで悪戦苦闘してきたこれまでの私の半生を赤裸々に綴ったものなので、学生時代を振り返った時、自分がカースト的にどのポジションだったかも書く必要がありました。

中村 実際、北条さんが通った中学校は、どんな感じだったのでしょう?

北条 進学した石川県の公立中学校はけっこう荒れているところで、ヤンキーがカーストの上位に君臨していました。それと、派手で可愛い子、バスケ部やテニス部の女の子なんかが1軍。吹奏楽部やバレー部の子たちは2軍、アニメやゲーム好きのオタク、卓球部、文芸部の子は3軍なんて言われていました。当時の私はイラストを書くことや、読書が好きなタイプで、気質としては完全にオタク。でも、3軍認定されるのは絶対いやで、吹奏楽部に入部したり、ヤンキー系の女子と仲のいい子とつるんだりと、けっこう迷走していました(笑)。それくらい、どのカーストに属するかは、当時の私にとって深刻なものだったんです。

中村 読書とイラスト好きだったら、残念ながら3軍だね。クラスヒエラルキーの下の層は、上へのあこがれがあるよね。SNSで本心を知れるようになったり、大人になってから再会したりで、その想いは卒業後に知った。特に3軍のこじらせと、2軍の1軍への対抗意識みたいなのは思っていたより深かった。

北条 そうですね。私がそうでしたから。

中村 男子の場合もけっこうシビア。女性は子どものときからヒエラルキーが下の男は一貫して相手にしないので、カースト下位の男は悶々として過ごすことになる。中学生の時点で弱いオスは女子から排除される。

北条 それこそ男性は、コミュ力があったり運動ができる子が上位にいますね。その対極にいたのが、アニメや漫画が好きなオタクの子。

中村 男の3軍は、なかなか抜け出せないので深刻でしょう。現実社会での自己実現を諦めたとき、妄想の世界に切り替わりがち。二次元作品では彼らの理想の学園生活が描かれる。オタクコンテンツ業界はそれを知り尽くしているから、学園ものを量産する。巨乳の少女にモテまくるみたいな彼らの理想の学園生活を描くのが、オタクコンテンツの基本的なプロットのようです。

北条 それは初耳です。