「邦画で最も怖い映画」を観た
暑い。暑いじゃなくて熱い。でも今年の夏は節電しなくてはならないらしい。東電のプロパガンダを真に受けるようで何となく引っかかるけれど、でも電力消費を抑えること自体は悪いことじゃない。
だからホラー映画を観ようと思いついた。
レンタルビデオ屋で借りてきたDVDは、『エクソシスト(ディレクターズ・カット版)』と『呪怨』の2作品だ。
結論から書けば、どちらも納涼にはならなかった。高校時代に一度だけ観ていた『エクソシスト』は、(当時も何となく感じていたけれど)映画としての完成度がとても高く、そしてテーマも深い。つまり単なるホラー映画の範疇には収まらない作品だ。
そして、ネットでは「邦画で最も怖い映画」と評判だった『呪怨』は、構成と演出が呆然とするくらいに子供騙しで、全編を通してお化け屋敷のレベルだった。心理描写は浅いし、悪霊の登場シーンはセオリーそのものだ。ハリウッドでリメイクしたことが不思議だ。数年前に劇場で観た『着信アリ』のほうが、ずっと怖い思いをしたような記憶がある。
だから見終えても相変わらず暑い。DVDはあきらめて、パソコンでYouTubeを観ることにした。「心霊」や「恐怖」などのキーワードで検索すれば、この手の投稿動画をいくらでも観ることができる。
子供の頃は心霊写真の全盛期だった。テレビの特番や雑誌の特集などで紹介される心霊写真のほとんどがホンモノに見えた。だからテレビで心霊写真特番を観てしまった夜は、トイレに行けずに困った。
さすがに今は、そこまで無邪気ではない。フィルムを入れる一眼レフや『写ルンです』などのコンパクトカメラが主流だった当時、心霊写真のほとんどは、レンズフレアや多重露光、フラッシュの乱反射、そして3つの点があれば人の顔として認識してしまう知覚メカニズム(シュミラクラ現象)などで、そのメカニズムを説明できることは知っている。