日本人の率直な感情を
理解しなければ進まない

 私は、文大統領が示した「両国の歴史問題が関係増進の障害になってはいけない」との考えに賛成であり、日韓関係を進めることで得られる両国の利益は大きいと考える。

 しかし、日韓が協力していくためには、お互いの立場を尊重し合うことが何よりも重要である。今の韓国には、日本に対するそうした姿勢が見られない。以前の日本人であれば、韓国に対して申し訳ないことをしたとの思いがあり、韓国の一方的な主張をある程度受け止めてきた。ところが今、そう考える日本人はほとんどおらず、そろそろ韓国と付き合うのはやめた方がいのではないかという雰囲気が強まっている。私が最も恐れているのはその点だ。

 私が、「韓国人に生まれなくてよかった なぜいま文在寅大統領なのか!開いた口がふさがらない」(悟空出版)という本を書いたのは、今後日韓関係を進めていくに当たって、日本人の鬱積した不満を韓国人にも理解してもらい、韓国人の独善的な見方、全て自分たちが正しいといった見方を捨ててもらう必要があるとの思いからである。

 本のタイトルが刺激的だったこともあり、韓国では、“嫌韓”に転向したのではないかと見られているようである。私自身、上品なタイトルだとは思っていない。ただ、少しでも多くの人に私の思いを知ってほしいと思ったので、このようなタイトルにしたのだ。

 今回の寄稿はかなり率直に、場合によっては失礼ともとられかねないような言い方で見解を述べた。ただ、最後に一言だけ言っておきたいのは、私は嫌韓の立場で批判しているのではないということである。多くの日本人に、「韓国なんか勝手にしろ、ほっておけ」と言われているのだが、それでもお互い率直に話し合えば道は開けると考えているからだ。

 そんな私が、もし韓国に対して何も言わなくなった時がくれば、それは嫌韓になった時かもしれない。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)