Eテレは「攻める」ようになった?

――最近、「Eテレが攻めている」と言われています。なかでも、「ねほりんぱほりん」はその象徴的な番組という位置づけで見られていますが、何か、Eテレの番組づくりを変えていこうといったきっかけがあったのでしょうか。

大古滋久(おおこ・しげひさ)/日本放送協会制作局第1制作センター 青少年・教育番組部チーフ・プロデューサー。1995年夏に広島局から制作局ファミリー番組部(今の青少年教育番組部)に異動し、以来、特集や開発、新番組立ち上げに多く携わる。2007年プロデューサーに。大阪局異動を経て2012年より制作局青少年教育番組部。 主な担当番組は「ディープピープル」(総合)、「Rの法則」(Eテレ)、「いじめをノックアウト」(Eテレ)、「ねほりんぱほりん(Eテレ)、「香川照之の昆虫すごいぜ!」(Eテレ)など多数。

大古 よくそういうことを聞かれるのですが、実際のところ、やっていることは昔から特に変わっていないんです。ただ、もともと、視聴者の「NHK離れ」ということを深刻に受け止めてきました。NHKは「U-59」が“壊滅的”なんです。59歳以下には観てもらえていない。つまり60歳以上、主な視聴者でいうと70歳以上の方に支えられていて、特に、若者には観てもらえていない。

 そんな中で、少し前になりますが、2014年に東京都知事選があって、ネットで広がった若者層からの支持を受けて自衛隊OBの田母神俊雄さんが60万票以上も獲得して4位になった。このとき、ある(NHKの)理事が「ネットの世界って一体何なんだ」「今の若者たちって何なんだ」「NHKはリアルな若者の声を拾っているのか?」と。そうした流れから、僕は青少年・教育番組部というところに所属していることもあって「若者たちのリアルな声を拾う番組」「ネットとの親和性のある番組」、この2つを課題として、番組作りを考えていくことになったんです。

 「攻める番組作りをしよう」という号令が掛かったわけではないですが、番組作りの方向性が若者やネットを意識していくようになったので、そういうことが「攻めている」という印象に関係しているかもしれません。

――若者やネットを意識する番組づくりのために、具体的に何をしたのですか?

大古 とにかく、ネットで受けている人の話を聞かねばならない、人気ブロガーとかに片っ端から取材しよう、ということになりました。そこからディレクターが、それこそ、ネットで調べたり、口コミで聞いたりして、全国にいるネットで話題の人たちに20人以上、直接会いに行って話を聞きました。

 そこで一つ見えてきたのは「ネットでは、顔出しナシだから思い切ったことが言える」ということ。それがネットの一番の長所なんですね。逆に一番の問題でもあると思いますが。

 とはいえ「テレビだし、モザイクだらけになってもねえ……」と話していたときにディレクターが、「じゃあ、人形でも使いますか」とボソっと言ったんです。そこですぐに「ああ!それはいいね!」と。「ねほりんぱほりん」が人形劇になったきっかけはそういうことなんですが、とにかくまず「ネットの若者に観てもらう」というために、他にもいろんな企画を考えていました。