低迷するフジテレビの改革を期待された亀山千広社長の退任が決まった。同社の今後に不安の声が募るが、亀山改革の頓挫はフジの復活につながるかもしれない Photo:DW

改革の旗手・亀山社長が退任
フジテレビはどうなってしまうのか?

 フジテレビの改革を期待された亀山千広社長の退任が決まった。低迷するフジテレビの改革において、かつて『踊る大捜査線』などのヒットメーカーとして会社を牽引してきた凄腕プロデューサーとしての手腕が期待されたが、視聴率が浮上することなく、任期を終えることとなった。

 フジテレビはいったい、どうなってしまうのだろう――。そう心配する人たちのために、「フジテレビはもうすぐ復活する可能性がある」という予告を予め書いておこう。ただし、その種明かしは本稿の終わりで行なうことにする。フジテレビの問題は複雑なのだ。

 まず始めに、「フジテレビはなぜ凋落したのか」という話を整理しよう。いくつかの有力な説が存在している。先に都市伝説っぽい話を3つ紹介する。

 1つは「地デジチャンネル説」。私の著書『戦略思考トレーニング2』で頭の体操のクイズとしても紹介したことがあるが、地デジ化の際にフジテレビがチャンネル8を選んだことが凋落のきっかけになったという説だ。

 もともとフジテレビは、新聞のテレビ欄では右から3番目の目立つ位置に表示されていた。それがアナログ時代に10チャンネルだったテレビ朝日と12チャンネルだったテレビ東京がそれぞれ5チャンネルと7チャンネルを選んだために、フジテレビはテレビ欄の右端に追いやられてしまった。

 スーパーでは目立つ棚に置かれた商品の方がよく売れるが、それと同じで、テレビ欄の目立つ場所に置かれたテレビ局は視聴率を伸ばす。実際にテレビ欄の中央に移動したテレビ朝日の視聴率が急上昇したから、あながちこの説は都市伝説だとも言いづらい。目立たない場所に移ったからフジテレビは凋落したというわけだ。

 2つ目は「東日本大震災で世間の空気が変わった」という説。それまで楽しくおちゃらけている番組が魅力だったフジテレビだが、震災を境に、楽しくおちゃらけていることが批判される世の中になった。その空気の変化を読めなかったというのが、2つ目の論拠。