キリンの出産はいろいろな意味でせつないらしい

――『生まれた瞬間キリンは2m落ちる』とあるのですが、実際にその瞬間を見られたことはありますか!?

「私はありませんが、うちの動物園のキリンも何度か出産をしていまして、立ったまま赤ちゃんを産み落とすので、本に書いてある通り、必然的に2mぐらい落ちることになります。ただ、野生のキリンなら草原にいるので、落ちても下は柔らかい土で問題ありませんが、動物園だと下がコンクリートで危ないので、出産が近くなるとたっぷり藁を敷くんです。それでずーっと生まれるのを待っているんですけど、なかなか産まれないから『ちょっと隣の部屋の掃除をしよう』と離れた隙に産んだりする。飼育係でも『なかなか産む瞬間が見られない』と嘆いています」

――それはむしろ飼育係さんのほうがせつないですね。

東武動物公園で生まれた「ジャスティン・ビーバー」ってナニ者?少し目を離した隙に「ドサッ」という音が……キリン出産あるあるなんだとか。(写真:東武動物公園提供)

そんなものまで!?アライグマに○○を洗われるとせつない

――飼育係さんのせつないといえば、『アライグマは小銭をぬすめるくらい手が器用』とのことですが、実際に何かとられたことはありますか?

「さすがに盗まれたことはないですけど、名前に“あらう”とついているように、川の中のサワガニや虫をとって洗って食べる習性がありますから、たしかに器用に何でも洗う仕草をします。我々がエサで動物用のビスケットをあげることもあるんですが、それも習性で洗ってしまうので、溶けてなくなっちゃうんですよ……」

――せっかくの美味しいビスケットが!それはたしかにせつないですね。

東武動物公園で生まれた「ジャスティン・ビーバー」ってナニ者?ビスケットも洗って溶かしちゃう!慌てる彼らのかわいい姿が目に浮かびます!(写真:東武動物公園提供)

今回は、「本当にせつなかった」エピソードを中心にお話を伺いましたが、後編(12月29日(金)公開予定)では「意外とせつなくない」というエピソードについても聞いてみました。実際に動物園に足を運んで確認したくなる話がたくさんありますので、お楽しみに!

東武動物公園のご紹介》

遊園地、動物園、花と植物の広場が融合した埼玉県のハイブリッドレジャーランド東武動物公園。ジェットコースターや親子で楽しめるアトラクション、動物園にはホワイトタイガーをはじめ約120種の動物たちが生息。この冬もさまざまなイベントを開催していきます。(詳細は公式HP http://www.tobuzoo.com/をご確認ください)
・営業時間:10:00~16:30(季節により変動あり。休園日は公式HPを参照)
・アクセス:〒345-0831 埼玉県南埼玉郡宮代町大字須賀 110
・入園料:大人(中学生以上)1700円、子供(3歳~小学生)700円
・問い合わせ先:0480-93-1200(代表)