医学部時代、海外の学会で「近畿大学の……」と発表すると、必ず笑いが起こるのを不思議に思っていた。同じような経験をした教員は多く、よくよく聞いてみたら、「kinki」は英語で風変わり、変態などを意味する「kinky」という単語と似ているためであることがわかった。

 大学の国際対応という意味で、これはまずい。学長になると早速、広報担当者を呼んで「明日から英語表記を変えてほしい」とお願いした。ところが、「先生、ちょっと待ってください」と言われた。

 英語表記を変えるなんてたやすい、明日からでもできるだろうくらいの感覚でいたのだが、職員に言わせるとそれはとんでもない認識で、「施設のロゴや運動部のユニホーム、すべて変えるとしたらいったい、いくらかかると思っているんですか?」というわけである。

 ざっと計算しても億単位の費用がかかるだろうというので、それでは少し待ちましょうということになった。実際に英語表記を変えたのは国際学部を作ったのと同じ、2016年4月だ。この時から、近畿大学の英語表記は「KINDAI UNIVERSITY」になった。

 「KINDAI UNIVERSITY」とともに誕生した国際学部。初年度は500人の定員に対して8537人の志願があり、その中から合格者538人が入学した。

 近年、グローバル人材の育成をうたう大学は多い。後発組の近大が国際学部を作るなら、何か思い切った、ほかが絶対にやっていないことに挑戦しなくてはならない。しかも、大学全体の国際対応推進のためにも、一気呵成に進めなくては──。

 そのように考えて打ち出したのが、1年生の後期から全員を海外留学させるというアイデアだ。

 国際学部では、入学した学生を能力別に15人ずつクラス分けし、半年間、まずは徹底的に語学力を鍛える。その後は専攻に応じて、アメリカか、もしくは中国・韓国・台湾のいずれかに1年間の留学プログラムに参加させる。

 全員を国外へ送り出すため、私たちは43校しかなかった海外協定校を、一気に176大学・機関にまで増やした(2016年10月時点)。現在では、242校と協定を結んでいる(2018年8月末時点)。

4年たてば2000人が海外留学経験者に
大学の雰囲気も大きく変化する

 これだけ思い切ったことをやるからには、すったもんだもあった。語学教育に関してはその道のプロである「ベルリッツ」と連携することにしたのだが、文部科学省からは「民間に丸投げか」とお叱りを受けた。しかし、結果的には良かったと思っている。

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帰国後のTOEICの平均点は大幅にアップ

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