iPhone XRPhoto:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 今年発表された新型「iPhone(アイフォーン)」のラインアップでは価格が低いモデルを選んだ方がいい、というのが評価をした人たちの一致した意見のようだ。幸いアップルにとって、より低価格のモデルが売れても依然、高い利益を確保できる可能性がある。

 アップルは先月、「iPhone XR(テンアール)」とその他2機種の新型iPhoneを発表した。しかし、今年は高額モデルを先に発売するという新たな手法に打って出た。基本価格999ドル(日本価格は11万2800円)の「XS(テンエス)」と「XS Max(テンエス・マックス)」はアップルの2018年度末直前にあたる9月下旬に発売され、基本価格は749ドルのXRは今月26日に発売される。

 3機種はいずれもプロセッサースピードや顔認認証センサー「Face(フェース)ID」などの機能に関してほぼ同じ改良が施されているが、3機種で最も安いXRは旧式のディスプレー技術が採用され、カメラレンズは1つしかない。それでも新型モデルで最も売れ行きが良いのはXRになるとアナリストはみている。調査会社ビジブル・アルファがまとめたコンセンサス予想によると、アップルの今年度のXR販売台数は推計8050万台であるのに対して、特大サイズのXS Maxは4030万台、XSは2560万台だ。

 となるとアップルにとってiPhoneの平均販売価格を押し上げるのは難しいように見える。ここ1年は平均販売価格の上昇がアップルの成長を主に支えていた。だがアップルは今年、販売方法を複雑化し、3機種とも3種類のメモリー容量から選べるようにした。こうすることで、目立たずにラインアップにより高額なモデルを加え、明らかに価格をつり上げた。実に賢いやり方だ。今年発売されるXRは昨年発売されたiPhone 8と同じ役割を果たす可能性が高い。アナリストは、昨年度最も売れ行きが良かったモデルはiPhone 8だとみている。XRの基本価格は749ドルと、iPhone 8の基本価格よりも約7%高い。

 こうした要因が、高額商品重視のアップルの戦略を今後も後押しする可能性がある。アップルは来週、2018年度決算を発表する予定だが、その数字には昨年度のiPhoneの平均販売価格が反映されているはずだ。昨年度の平均販売価格は約755ドルと前年度から16%上昇し、同社史上最高となった。ファクトセットがまとめたアナリストの現在の予想によると、今年度の平均販売価格は約775ドルに引き上がる見通しだ。

 iPhoneはアップルの事業全体の60%以上を占めており、同社は依然、iPhoneに過度に依存している。顧客がiPhoneを必要とし、今後も有り金をはたいてくれるのであれば、これは心強いサインだ。