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中東について考える際は、2つの軸を持つといい。(1)民主主義か?(2)アラブ人の国か?だ。「アラブの春」という民主化運動が広がったにもかかわらず、イスラエルとトルコを除き、軍事政権や君主制など権威主義的な政治のままとなっている。イランのようにイスラム教の指導者が全てを決める国もある。歴史とイスラム教のポイントを押さえつつ、どのような政治システムか学び直しておこう。※この記事は、山中俊之『教養としての世界の政党』(かんき出版、2024年発行)の一部を抜粋・編集したものです。
【イラク】と【イラン】
大国の“地政学ゲーム”に翻弄された国
イラクは、政治システム的には「政党も選挙もある民主主義」となっていますが安定していません。シーア派の政党は親イラン派、スンニ派の政党は反イラン派、クルド人系の政党もあります。
2022年にようやく発足したのが、シーア派中心の連立政党のスーダーニー内閣。イラクでは「内閣にはあらゆる宗派・民族の人にポストを」となっているのですが、「シーア派政党はわりと親イランなのに、経済協力を考えたら米国とも近づいたほうが良さそう」と、あちらを立てればこちらが立たず状態に。
一方、イランは1970年代に急速な西洋化を遂げました。なぜなら米国が、シャー(王)であるムハンマド・パーレビを担ぎ上げ、「イランを足がかりに中東で勢力を伸ばそう」と考えたのです。
しかしペルシャ帝国の末裔で誇り高きムスリムはこれに猛反発。1979年のイラン革命でシャーは追放され、テヘランの米国大使館人質事件を経て、イランは米国と国交断絶。がらりと方向転換し、「アンチ米国のイスラム原理主義国」になって、現在に至ります。
イスラエルの存立を認めないこともイランの反米の一環ですが、科学論文の数が多いなど隠れた科学技術先進国のイランは中東では珍しく軍事的に強い国。イスラエルの核兵器に対抗しようとせっせと開発しています。







