背景にある神社界
「聖」と「俗」の対立

 今年5月に統理に就任した鷹司統理は、公家の家格の頂点である「五摂家」の一つ、鷹司家の現当主であり、昭和天皇の第3皇女の養子で、天皇の義理の甥だ。この華麗なる家柄に加え、慶應義塾大学大学院修了後、日本電気(NEC)に入社、最後はNEC通信システム社長を務め、神社界の“外”でも功績を残した人物である。

 怪文書の背景にあるのは、神社界の「聖」の部分を担うその鷹司統理と、「俗」の部分を担う事務方のトップ、田中恆清・神社本庁総長の間で起きている、田中総長の進退を巡る神社界2トップの対立だ(参考記事)。

神社本庁の田中恆清・総長 石清水八幡宮(京都府)宮司

 経緯を簡単に振り返ろう。

 9月の役員会で、職員宿舎の売買の疑惑(参考記事)を巡り、上層部と業者の癒着を疑いその解明を求める文書を作成して解雇処分となった神社本庁の元幹部職員と、神社本庁の間で今も続いている処分無効を求める訴訟に対し、一部の理事から「和解の道を探るべし」という提案が上がり、鷹司統理も、平成の御代替わりを前に収束を図るためにも議論を深めた方がいい、という見解を示した。

 これに立腹した田中総長が「悔しいが今日限りで辞めさせていただく」と突如の辞任表明。ところが、10月、田中総長は一転して続投宣言する。これに驚いた鷹司統理が「人の上に立つ者や組織の長は、自らの言葉に責任を持つべきで、軽々しく変えてはならない」と異例の苦言を呈したことで、聖俗2トップの対立が先鋭化した。