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 ドナルド・トランプ米大統領と中国の貿易をめぐる対立が米経済にどのような影響を及ぼすのか、投資家は兆しを探っている。中国での「iPhone(アイフォーン)」販売低迷に対する市場の反応からすると、アップルは世界経済について警告するカナリアだとの懸念が多いようだ。これは過剰反応かもしれないが、アップルの警鐘は米中経済の相互依存や貿易協定での米中共通の利益を浮き彫りにしている。

アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は2日夜の記者会見で、中国でのiPhone販売低迷を受け四半期売上高の見通しを下方修正した。業績予想の引き下げは約15年ぶりのことだ。同社にとって中国は米国と欧州に次いで3番目に大きな市場。クック氏は投資家向け書簡で「世界売上高の前年比減少幅の100%超は、iPhone、Mac(マック)、iPad(アイパッド)を通じて大中華圏で起きた」と記した。

 また「主要新興国市場で幾つかの困難を見込んでいたが、特に大中華圏で経済減速の度合いは予想していなかった」と付け加えた。投資家にとっても予想外だったため、アップル株は10%近く下落し、相場全般の下げにつながった。米国の成長鈍化が懸念され、投資家が安全資産に逃避するなか、米国債10年物の利回りも低下した。

 クック氏は工学系のバックグラウンドを持つが、この問題はエコノミストのような視点で分析した。「中国での経済環境は、米国との貿易摩擦の激化による影響が強まっている。金融市場を圧迫する不透明性が高まるなか、影響は消費者にも及んでいるようだ」と。

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 「不透明性」という言葉に注目したい。この言葉は、バラク・オバマ大統領による企業向け規制戦争の影響を表す時によく使われた。CEOは政府から次にどのような攻撃を受けるか分からない時には、投資や採用の決定を遅らせたり取りやめたりする。オバマ時代の設備投資停滞や低成長はこれで説明されることが多かった。