加えて、昨年終わりごろから原油価格が大幅に下落した。足元ではやや反発してきているが、原油価格下落は消費者物価を下げる要因として今後、効いてくる。

 さらに、4月には携帯通話料金の引き下げ、10月には幼児教育の無償化が予定されおり、物価指標を大きく押し下げる要因になりそうだ。消費者物価の伸びが前年比で再びマイナスになってくるかもしれない。

 政府や日本銀行は「これは一時的な動きであり、持続的な物価下落、すなわちデフレではない」と、主張するだろうが、日本の物価は上がりにくいことを改めて印象付けることになろう。

 「デフレ脱却」をスローガンにする安倍政権がそんな時に消費税率を10%に上げられるのか心配になってくる。

 もっとも、物価が上がらなくなることによって、消費増税による実質所得の目減りが緩和される。デフレ脱却が遠のくことが、日本経済にとってプラスに作用するというのも皮肉な話だ。

「デフレ」をもたらした
企業の低価格戦略

 なぜ日本の物価は上がらないのか。

 日銀が大胆な金融緩和をしないから物価が上がらないのだ、と、いわゆるリフレ派を中心にさんざん言われてきたが、黒田日銀総裁による異次元の金融緩和をもってしても一向に物価が上がってこない。

 この状況を見れば、金融緩和の問題ではないことははっきりしてきた。

 日銀当座預金残高が激増したからといって実体経済や物価には影響がないことは最初から分かっていたことだ。

 デフレの原因を人口の減少あるいは高齢化といった人口動態に求める説もある。

 確かに、需要の拡大が抑えられることは、物価の上昇圧力を弱めるだろう。また、賃金が上がらないから物価も上がらない、という見方も有力だ。

 懐具合がさみしければ多くの人は価格の上昇を受け入れる余裕がなくなり、人件費比率の高いサービスの価格が上がりにくくなる。

 おそらく、こうした要因が日本の物価を上がりにくくしていることは事実だろう。

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「体感温度」は5%の「インフレ」

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