図表2は、体感物価と消費者物価の乖離が品質の低下を示唆していると仮定し、投入物価の推移と比較したものだ。
これを見ると、投入物価の上昇がある程度の時間差をもって品質の低下をもたらしているように読める。
「隠れた値上げ」広がれば
成長の妨げになる
日本経済のデフレを長引かせてきたのは、消費者の所得が伸びない中で、企業が、コストの上昇を量の減少による単価アップや質を落とすことによって吸収し、価格の上昇をできるだけ抑えてシェア拡大を目指す、こうした行動をとってきたことが一因と言えよう。
だが日本経済は、量の拡大によって成長することが難しくなっている。それだけに、質を高めることによって成長していくことが重要だ。
そのことを考えると、「ステルス・インフレ」によって利益を確保しても、長い目で見れば、成長戦略にはならない。
日本経済の問題はデフレではなく、質の劣化を伴う「ステルス・インフレ」の広がりだ。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究主幹 鈴木明彦)




