ビールサーバーPhoto:PIXTA

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 消費者の節酒志向に乗った勝ち組は、意外なことに世界的なビールメーカーだ。米コカ・コーラやペプシコのような清涼飲料メーカーにとっては悪いニュースである。

 オランダのハイネケンが13日に発表した2018年通期の決算では、旗艦ブランドがこの10年余りで最も好調だった。ビール販売量は、ノンアルコールビール「ハイネケン0.0」への需要を一助に前年比7.7%増加した。17年夏に発売された同商品の販売量は2桁で増加。意外にも、中核のハイネケン・ブランドの売り上げを侵食するどころか後押ししている。ハイネケンは、「バドワイザー」で知られるベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)に次ぎ世界2番目の規模を誇るビール会社だ。

 ハイネケンとABインベブは横ばいの世界ビール市場で新たな成長源を見つける必要があった。クラフトビールは明るい分野だ。ノンアルコール・低アルコール商品もしかり。消費者がアルコール摂取への意識を強めるなか販売は好調だ。こうした商品がビール市場に占める割合は依然小さく、世界のビール販売量の5%にすぎないが、停滞するビール部門にあって過去5年の成長率は平均3.9%に達している。ABインベブが世界ビール販売量に占めるノンアルコール・低アルコールブランドの割合を25年末までに20%以上にしようとする目標は、これで説明がつく。

 節制志向はビール会社の収益性にも貢献しているようだ。ノンアルコールビールはアルコール除去のステップが必要なため生産コストが割高だが、消費者にはアルコールが少ない飲料に同じ金額、さらには高めの金額を支払う用意がある。物品税は飲料のアルコール含有量を基に計算されるため、ノンアルコール商品は販売価格のうちメーカーの取り分が多くなる。

 初期のノンアルコールビールは苦く、マーケティングも下手だったため、消費者の後味は悪かった。改善されたレシピが軌道に乗るまでには時間がかかるだろう。だが低アルコールビールは、近年ソフトドリンクに奪われていた「飲み」の機会をビール会社が奪い返すのに役立つ。清涼飲料メーカーは、例えばランチタイムの飲酒を巡る規則の強化やタブーを追い風にしてきた。だがUBSによると、現在売られているノンアルコール・低アルコール商品の5本に1本はソフトドリンクに取って代わっている。

 清涼飲料大手にとっては気がかりな情報だろう。コカ・コーラは最近、英コーヒーチェーン大手コスタを買収し、ビールよりもコーヒー消費が気がかりであることを示唆した。だがビール大手もその領域を侵しつつある。

(The Wall Street Journal/Carol Ryan)