新興国市場に、ここ1年で最も速いペースで資金が流入している。世界の指標が総崩れしてからわずか数カ月で投資家のリスク選好度がいかに回復しているかを物語る動きだ。世界各地の中央銀行が慎重姿勢に転じ、世界貿易への警戒感も和らいだことから、資産運用者はリターンを求めて、中国株からチリ・ペソまで世界中のあらゆる資産を買いあさっている。国際金融協会(IIF)のデータによると、今年に入ってから新興国株や債券に流入した資金は約860億ドル(約9兆6200億円)で、2018年4~12月の流入額を既に上回る。こうした現状にあおられ、MSCI新興国市場指数は昨年安値から13%近く上昇している。新興国市場に流れ込む資金は、投資家のリスク耐性が年末から変化したことをあらためて示すものだ。昨年終盤には米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げで成長が下押しされる可能性が懸念されていた。新興国資産は利回りが高く、バリュエーションが比較的割安なことから長期的に好調なリターンが期待できる。しかし、セクターの支持者でさえも、昨年MSCI新興国市場指数に見られたような急激な市場の落ち込みに備えるべきだと指摘している。
新興国市場に資金流入、相場回復で慎重姿勢一転
ロシア、中国、ウズベキスタンなどへ 中銀スタンスの変化受け
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