経験を積むチャンスが
もらえる環境に行く

――就活生にアドバイスするとしたらどんなことがありますか。

森岡 学生さんはね、本当に採用される確率を上げようと思ったら、やっぱりこの人はどういう人なんだということを明確に相手に理解させないといけないですよ。ということは自分がどういう人なのかを自分自身が理解していないと伝えられませんよね。己を知らないと面接には勝てない。自分の特徴をちゃんと明確に理解して、自分はどういう人間だということを端的に喋べれないとダメです。大女優とか名俳優でもない限り、嘘をついてもバレますからね。向こうもプロだから、根掘り葉掘り聞いていったら、この人は適当に言ってるとか、話を作ってるってすぐバレるんですよ。一発で×がつく。自分がやってきた真実の範囲の中から自分の特徴を抽出して、自分はこういう人間なんだということを熱を込めて喋べれないとダメですね。

 無理して変な会社に入らない方がいいですよ。私はそう思います。たとえば自分はTが強いと思っていても、もっと自分よりできる人もいますから。自分がチャンスをもらえそうな会社からスタートするのがやっぱりいい。仮に自分の特徴がTだとしても、もっとTが強い人がその会社には山ほどいて、自分がどう考えても最後だという状況ではなかなか芽が出ない。ちゃんとTを伸ばすチャンスをもらえることが重要なんですね。背伸びはしていいんだけど、あまりに大きくジャンプしてもダメです。地に足が着いたなかで、精一杯背伸びをするぐらいのところに入るのが大事です。相対的な実力にあったところに入るのが成功するためのコツです。

 これ、受験にも似ている。偏差値の高い学校に一番ビリで入って、中に入ったら自分よりもできる人間ばっかりで、努力しても追いつけない、そうしてビリをずっと走り続けると、負けグセがついて自信がなくなるじゃないですか。100人の組織の最後の方でずっと走り続けると、その人の仕事能力が開花するチャンスもなかなか周ってこないんですね。だったらその人の力で上の3分の1ぐらいに入れそうな会社に入って、経験を積むチャンスがもらえる環境に行った方が、その人の力は伸びると思うんですよ。

 ということで、どの集団に属するかというのは、向こうが内定を出してくれるということが一つの証だと思います。己の特徴をよく理解して、それをちゃんと自信を持って相手に伝える。それで内定をくれたところが自分にとっていい場所です。それは一つの正解に間違いないんですよ。正解はたくさんあるということですね。