「NIKE+ FuelBand」が示唆する
クリエイティブの新基軸
6月17日~23日、今年もフランスのカンヌで「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」(Cannes Lions International Festival of Creativity)が行われ、私も多くのマーケティング関係者と共に参加してきました。
以前は国際“広告祭”だったこのフェスティバルが、昨年から国際“クリエイティビティ・フェスティバル”に名前が変わったことに象徴されているように、“広告”という概念が大きく変わってきています。そして、この大きなイノベーションの源流にはデジタルテクノロジーの進化があります。
それを証明するように、期間中はさまざまなセミナーやフォーラムが開催されましたが、多くのセッションで「デジタルテクノロジーの登場が、クリエイティブにどのような影響を与えるのか」に関するテーマが取り上げられました。
多くの審査部門があるなか、統合マーケティング全盛のこの時代に最も注目されている「TITANIUM & INTEGRATED 部門」でグランプリを獲ったのが「NIKE+ FuelBand」です。
「NIKE+ FuelBand」では、新しい活動量の単位である“NikeFuel”を使って、1日の全運動のデータを記録することができます。そのデータは腕に着けるバンドの上にデジタル数値で表示されるほか、数値の下に並んだ1列のLEDが、最初は赤、活動を重ねるほどに黄色、そして緑へと変化し増えていきます。NikeFuelの目標値として設定される緑を目指すことがユーザーのモチベーションにつながっていくのです。
この独自の活動量を表す単位であるNikeFuelは、NIKE+ FuelBandを装着したモニターたちのデバイスに内蔵される3軸の加速度センサーが計測したデータと、酸素消費量との相関性をもとに、ナイキが独自に作成したアルゴリズムによって数値化されます。
NikeFuelの数値は世界中のアスリートや仲間などとも共有できるため、誰もが世界の一流アスリートと同日のNikeFuelのポイントを競うことさえも可能になります。