米中貿易摩擦が不意に再燃し、米連邦準備制度理事会(FRB)はつい先週まで予測されていた水準よりはるかに大幅な利下げを実施するかのような状況になってきた。どこかおなじみの展開ではないだろうか。ドナルド・トランプ大統領が昨年、幅広い中国製品に対して発動した関税と、それに対する中国の対抗措置から米国経済の成長不安が広がり、2018年終盤の米国株安につながった。その後FRBが利上げ停止を決めると、米国株は年明けとして過去最大級の反騰を記録した。5月にはトランプ氏が再び貿易摩擦をあおり、FRBは6月には利下げシグナルを出した。FRBは7月31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切った。その際、ジェローム・パウエルFRB議長は経済情勢が悪化しなければ追加利下げを控える可能性がある意向を示唆していた。トランプ氏はさらに大幅な利下げをFRBに要請していたため、パウエル議長に「失望した」と述べた。翌日には9月1日付で対中新関税を発動すると表明し、株価急落を招いた。週明け8月5日は人民元相場が心理的な節目を割り込むのを中国は黙認。米国株はまたも下落した。利下げが突然、確実視されるようになった。
米中貿易摩擦の再燃、FRBに利下げ圧力の悪循環
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