サウジアラビアは水面下で、イランをはじめとする中東の敵対勢力と関係改善を進めている。背景には、紛争を抱えていることで、石油収入に依存する国内経済が脅かされるとの懸念がある。また米国などの同盟国からどの程度の支援が得られるのか、サウジ当局者の間で疑念が強まっていることも要因だ。9月にサウジの石油施設が巡航ミサイルと無人機による攻撃を受けて生産停止に追い込まれたことが、サウジの見方を変えるきっかけとなった。攻撃を加えたのはイランとされるが、米政府はイランへの報復措置を見送り、サウジ防衛を強化するために中東増派を決めた。あるサウジ当局者は「9月14日の攻撃が潮目の変化となった」と明かす。サウジとイランの代表は足元、直接メッセージをやり取りするようになったほか、オマーンやクウェート、パキスタンの仲介者を通じても対話している。サウジや欧米の当局者が明らかにした。サウジとイランの緊張緩和が対話の中心議題になっているという。