点滴をぶら下げた何人かの患者が待合室で立っている。空いている椅子がないのだ。倉庫では医療関係者用の防護服やゴーグルの数が不足していた。公共交通機関の閉鎖が続く中、熱を出した家族を病院に連れて行くためには、住民たちはワン・ホンギャンさんのように原付きバイクに頼るほかなかった。ワンさんの夫は70歳で、衰弱しきっていた。真夜中に病院へ向かう途中、バイクから転げ落ちた。「とにかく彼の命を救いたい」。ワンさんは7日、夫の横に座ってこう語った。夫は待合室の椅子に背中を丸めて座り、点滴を受けていた。中国内陸部の人口1100万人の都市・武漢は新型コロナウイルス感染の中心地となり、政府が感染阻止に乗り出す中、混乱が続いている。急ごしらえの病院など新たな施設で患者の受け入れが始まったが、既存の病院システムはまだ窮状にさられている。
限界超える武漢の病院、感染患者の窮状
病院の待合室は点滴をぶら下げた患者であふれている
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