富士の山肌に現れる「農鳥」と田んぼの逆さ富士

 富士山の山肌に現れる鳥の形の残雪を「農鳥(のうどり)」といいます。毎年4月下旬から5月中旬にかけて、富士山7~8合目付近(標高2900メートルから3000メートル)の北西斜面に出現します。地元では古くから、農家が田植えなどの農作業を始める時期の目安とされてきました。

 映像の場所は、山梨県富士吉田市の西側に位置するなだらかな棚田です。「農村公園」とも言われ、地元の人々の憩いの散歩コースにもなっています。

 この棚田は、湖のない富士吉田市でありながら、唯一逆さ富士を見ることができる隠れた絶景スポットです。田んぼに水を張り始めるこの季節、広く裾野を広げた富士山が水を張った田んぼに逆さに写り込むのです。地元の農家のご主人は、絶景の逆さ富士を踏みつけながら淡々と畝を形作っていきます。「農鳥」と「田んぼの逆さ富士」は、富士北麓地域に初夏を告げる風物詩となっています。

※撮影日:2017/5/23

(撮影・文/クレセントエルデザイン)

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