米大統領選挙戦は候補者間の違いを明らかにすることに主たる意味がある。しかし、候補者が何らかの中間地点や、生まれつつある全米のコンセンサスを探る動きを見せると、選挙運動はずっと興味深いものになる。その好例が、民主党の大統領候補に事実上決まっているジョー・バイデン氏の経済政策だ。同氏は、新型コロナウイルス禍に見舞われたこの数週間で段階的に経済政策の肉付けを進めてきた。党内勢力によって左方向へと押されているが、過度に左寄りにならないよう懸命に努めている。元大統領のビル・クリントン氏やバラク・オバマ氏の政策を少しずつ取り入れ、現職ドナルド・トランプ氏の政策さえも取り入れている。バイデン氏はいつものように、税制面では新たな中道を見つけ出そうと努め、貿易面では新たな全米コンセンサスになり得る考えに適応しようとしている。元の立ち位置から遠ざかることを強いられているが、民主党内の一部勢力が望むほどには遠ざかっていない。