個人情報は厳守した上で、キャリアデザインの目的とプロセスを明らかにする。キャリアデザインは、危機を回避し、機会をつかむためのものであると位置づけ、組織へのコミットが個人のキャリアアップへ繋がるように設計する必要があります。
そしてもう1点、日常的な業務の中でキャリアを意識させることが重要です。オフィシャルなキャリアデザインは節目に行う大きな見直しですが、日々の業務の中でも意図的にキャリアについて個人が考える環境を整えるべきでしょう。
冒頭のビジネスパーソンへのアンケートで、約7割の社員が「日常的にキャリアデザインを意識して仕事をしている」という結果も得られています。しかし、企業にとってこれを把握することは、人事上の大きな要件とはなり得ていません。確実に人材の資源化を行っていくためには、企業はこうしたマイクロレベルのキャリアデザインにも関与していく必要があると考えられます。
そして最後に、就活中の学生含め、今の若者が無軌道なまま“生き急ぐ”ことに対して企業から聞かれた懸念は、大学側にも責任の一端があるように感じられました。
「企業は自分をどう成長させてくれるのか、ということばかり気にする若者もいて、驚くことがあります」(TBS 人事部 中山氏)
働くということは、とても長い道のりです。新入社員の頃に描いたイメージが、5年後10年後に変わっていない人の方が珍しいくらいです。ましてや大学時代に、リアルな感覚を伴って職業選びができるはずもない。
それよりも、働くとはどういうことか、を突き詰めて考えるためのトレーニングをする場としてキャリアセンター等の活用を、今後見直していく必要があるのでしょう。