ジョー・バイデン氏は本当に大統領になることを望んでいるのか。目的達成のためにプロジェクト化した今の民主党にバイデン氏は本当に関心を持っているのか。こうした質問は大統領候補が29日に臨むテレビ討論会では出ないだろう。バイデン氏が大人になってからずっと漬かってきた政治文化は今や、自身の党の政策課題を動かす、イデオロギー上の奇襲部隊によって非難されている。バイデン氏は自身が今も変わらないと思う米国のどこかにある「惑星バイデン」で1956年頃の大統領選を戦っている。民主党がまだ白人男性を父権的な弾圧者や人種至上主義者としてではなく、人間として見ていた時代だ。バイデン氏は大統領選に立候補した理由の一つに国政に威厳を取り戻すことを挙げている。筆者も実はその言葉を信じている。多くの米国民と同様、バイデン氏は下品な言動を繰り返し、得意げに自身を賛美し、分裂国家を率いるという責務を明らかに軽視しているトランプ大統領に心からうんざりしている。バイデン氏が望んでいたのは普通の大統領になること、大統領がツイッター上でわめきちらしたり、下院議長がテレビの生中継中に大統領の一般教書演説の原稿を破ったり、報道機関が「抵抗」のプロパガンダ部隊になったりする前の時代に存在したような大統領になることだった。