平時なら、雇用が月に66万1000人増えればすばらしいニュースになる。だが今は平時ではない。9月の雇用統計はむしろ悪い内容だったと言える。9月の米非農業部門就業者数の増加幅は前月の150万人から鈍化し、エコノミスト予想の80万人増にも届かなかった。失業率は8月の8.4%から7.9%に低下したとはいえ、これはおおむね職探しをあきらめた人が増えたことが原因だ。失業率算出のもとになる家計調査で見ると、9月の就業者数の伸びは27万5000人にとどまる。米国の就業者数は、新型コロナウイルス流行が始まった2月の水準を1070万人下回っている。もし雇用の伸びの鈍化がこのまま続けば懸念材料となる。失業期間が長引くと労働者の技能低下が進み、景気が回復しても就業がより困難になりかねないためだ。