米新世代「押し目買い」投資家、相場を下支えIllustration: ELENA SCOTTI/WSJ, ISTOCK

 個人投資家の勢いを抑え続けることはできない。少なくとも現在の米株式市場では。

 春先に関税を巡る混乱で相場が急落した際に個人投資家は押し目買いに動き、株価が過去最高値水準にまで反発する後押しとなった。こうした投資家の間では、ミーム株(はやり株)取引も再び活発化した。

 これは相場の過熱感を示す新たな兆候だと考えるウォール街のプロ投資家は多い。超大型ハイテク株の割高感が強まる中ではなおさらだ。ミーム株取引の復活は、ドットコムバブルの記憶をよみがえらせている。

 ただ、個人投資家の粘り強さは根拠のない単なる楽観論以上のものを示唆している可能性がある。株を持ち続けようとする動きはプロ投資家が考えるよりも持続的かもしれず、そうした要因はたとえ高騰する銘柄が平均水準に戻っていくとしても、下落の衝撃を和らげるかもしれない。

 なぜこれが一時的なトレンド以上のものなのか。一つには、投資家の世代交代が進んでいることがある。ドットコムバブル崩壊や世界金融危機といった市場の大惨事の記憶がある人は少なくなっている。

 その代わり、現在の若い投資家は初めて証券口座を開いた時からほとんど晴天続きの相場しか経験していない。彼らが社会に出た頃は超低金利が続き、相場は右肩上がりだった。

 投資を始めたばかりの頃に大きな利益を得たことで、多くの投資家は大きなリスクを取ることを恐れず、相場が荒れた局面でも株を手放そうとしなかった。