米大統領選で当選を確実にしたジョー・バイデン前副大統領は、中国に対する強硬姿勢を今後も維持していく見通しだが、同盟国と共闘を組む、制裁措置など他のツールを活用するなどして、従来とは異なる方法で中国に是正を迫る考えだ。バイデン氏のアドバイザーや中国専門家らが明らかにした。
バイデン氏はこれまで、人権問題を巡り中国への圧力を強めていく方針を示唆している。また、ドナルド・トランプ米大統領が結んだ貿易交渉の「第1段階」合意は重視せず、米国のパートナー(おそらく台湾も含まれる)との連携を強化することで、地域における中国の問題行動を抑制し、国家主導のハイテク産業支援を制限していくとみられている。
オバマ政権時代にアジア担当の外交官だったダニエル・ラッセル氏は、バイデン氏が周辺関係者と民主主義を巡って議論しているテーマとして次の2点を挙げている。まずは同盟国やパートナー、同じ考えを持つ国々に協力を呼びかけること。そして、政策や戦略が人権や民主主義の原則、市場経済といった「共通の価値観に確実に根ざしたものにすること」だという。
トランプ氏は一方的な対中政策を進め、習近平国家主席をはじめとする中国指導部と直接やり取りすることで、大掛かりな貿易合意の実現を目指してきたが、これまでのところ実現に至っていない。バイデン氏は同様に厳しい姿勢で臨むものの、他の国や地域も関与し、より予測可能な路線になるとアナリストは指摘している。