中国外国人記者クラブ(FCCC)が公表した年次報告書によると、同国における外国人記者の報道環境が昨年、著しく悪化したことが分かった。当局による記者や取材先への嫌がらせがひどくなったほか、記者の国外追放、新型コロナウイルス禍を口実とする報道妨害といった行為が横行したという。FCCCによると、今回の調査対象で、前年から報道環境が改善したと回答した記者は皆無だった。報告書は「国家権力のすべての武器――コロナ禍で設置された監視カメラを含め――は、記者や中国人の同僚、取材を試みた情報提供者への嫌がらせか脅迫に使われた」と指摘している。トランプ前政権下の米国と中国の関係が昨年、著しく冷え込んだことがメディアを取り巻く環境悪化につながった。緊張が高まる中、記者はメディアを舞台とする米中の報復合戦に巻き込まれ、中国に駐在していた欧米メディア所属の記者少なくとも18人が国外追放となった。