今回の第一の決定について、被害者弁護団は「ある程度の責任を認めており、評価している」と話す。
現在、東京地方裁判所でも被害金額の弁済を求める3件の調停申し立てが進められており、2回目の調停は4月8日に行われる。ここで第一は3月31日に決めた被害金額の全額補償の方針を示すとみられ、「基本的には解決の方向へ進むのではないか」(被害者弁護団の濱本凌汰弁護士)という。
ただ、火種が完全に消えたわけではない。東京地裁での3件の調停では、被害者はそれぞれ慰謝料500万円を求めている。第一は今回、あくまで被害額の全額弁済を決めたに過ぎない。
実際、被害者弁護団は被害者が受けた損害には精神的苦痛もあり、第一がその損害について全く考慮しないなら、被害額の全額弁済による和解成立には「躊躇(ちゅうちょ)を覚えます」(被害者弁護団)と牽制している。
4月8日の調停では、被害者弁護団はこれらの金額についても第一に求める方針で、両者はどう折り合いをつけるのかが、最後に残された争点になりそうだ。
攻めへ転じるも社内は
以前と変わらぬ風土が残る
生保業界内からは「役員の処分も終わり、早く区切りを付けたかったのだろう」という声が漏れる。
ただでさえ、足元では新型コロナウイルスの感染拡大で対面営業がままならず、新規契約を前年並みに獲得するのは難しい状況だ。その中で第一は、不祥事の影響から“反省モード”を強いられ、新商品のテレビコマーシャルを自粛するなど手足を縛られた状況に置かれていた。
都内で法人客へ営業活動をする職員は「不祥事が発覚してからは、お客様と面談すると、まずおわびから入ることが多く、なかなか積極的に提案することができなかった」と打ち明ける。
国内大手生保4社のうち、第一以外の3社はコロナ禍をきっかけに対面営業から非対面営業手法の確立、営業職員の待遇改善、若年層などの新たな顧客の開拓など、矢継ぎ早に手を打っている。これ以上、第一が不祥事対応で身動きできない状況が続けば、他社の背中が見えないほどの差をつけられてもおかしくない。
第一は今回の方針決定を機に、反省モードから攻めに転じることになりそうだ。だが、ある内勤職員は「依然として勤続年数が長い生保レディーをあがめるような風潮はあり、山口県の元営業職員が自分の立場を勘違いする原因となった企業風土は残っている」と話す。
みそぎが済んだとばかりに、一気にアクセルを踏めば、また足元をすくわれることになると肝に銘じておくべきだろう。
1ページ目最終段落を以下のように訂正:「このほど一部の裁判所による調停で、被害金額全額の補償が適当だという和解案が示されたことで、」→「このほど一部の裁判所による調停において、被害金額のうち弁済されていない残額の相当程度の補償が適当だという和解案が示されたことで、」
(2021年4月3日14:42 ダイヤモンド編集部)



