第一生命元職員「19億円詐取事件」、調停の行方と営業現場が直面する厳しい現実

19億円超の金銭詐取事件
弁済額めぐり第一回調停開催

 生命保険業界を揺るがす大事件となった、第一生命保険の元職員による19億円超の金銭詐取事件。同社西日本マーケット統括部(徳山分室)に所属し、山口県周南市で勤務していた89歳の元営業職員が、02年から20年にかけて、顧客24名から約19億5100万円の金銭を詐取していたことが明らかとなっている。

 2020年12月22日、第一は経緯を報告するとともに、稲垣精二社長が謝罪。4分野13項目の発生原因分析と、再発防止策を発表している。

 現在の焦点は、被害者への弁済額だ。第一は被害者に対して、被害額の3割を先行弁済しているが、残り7割を弁済するかどうかについて、明らかにしていない。

 全額弁済を求める被害者側と第一側は、弁済額について着地点を見いだせず、調停制度を利用することになった。その第一回調停が2月4日、東京地方裁判所で開かれた。

 調停に至る過程では、この詐取事件ならではの難しさが浮き彫りとなった。