業界を揺るがした金銭詐取事件
第一は被害全額の補償を決定
この半年、生命保険業界を揺るがしてきた事件が、解決へ向けて大きく前進することになった。
2020年10月に第一生命保険が公表した、山口県周南市を舞台に行われていた金銭詐取事件。89歳の元営業職員が2002年から20年にかけて、顧客24名から約19億5100万円を不正に取得していた。
金額の大きさや詐取を行っていた期間などが過去に例を見ないほど大規模であり、第一だけでなく生命保険業界全体の信用を落とす大不祥事だというのが業界内の共通の認識だった。
第一は事件発覚後、被害者それぞれがだまし取られた金額のうち、元従業員から返済されていない金額の3割を先行弁済していた。
被害者弁護団は、第一は被害金額の全額を補償すべきだと主張していたが、このほど一部の裁判所による調停において、被害金額のうち弁済されていない残額の相当程度の補償が適当だという和解案が示されたことで、第一は被害金額の全額補償を3月31日に正式に決めた。