第一生命保険は9日、山口県周南市で勤務していた元社員の女性(89)が在職中、顧客から約19億円をだまし取ったとして県警に告発していた問題で、金融庁に経緯などを盛り込んだ経過報告書を提出した。同社ホームページにも「元社員による金銭の不正な取得について」として調査結果を公表。管理体制の不備を認め「被害にあわれた方をはじめ、お客さまならびに関係者の皆さまに、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申しあげます」と謝罪したが、元社員の動機や使途など詳細は明らかにしていない。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

特別調査役、政財界に広い人脈

第一生命日比谷本店
第一生命日比谷本店 Photo:JIJI

 第一生命の調査によると、元社員は山口県周南市の西日本マーケット統括部(徳山分室)に勤務していた2002~20年、顧客24人から計19億5100万円をだまし取ったとされる。

 元社員は顧客に対し「成績優秀者のみに認められた高い利子がつく自分専用の特別枠がある。特別枠に空きがあるので、自分に預けないか」などと架空の金融取引を持ち掛けていた。

 だまし取ったのは顧客の手元資金(現預金)のほか、契約者貸付金、死亡保険金、満期保険金、解約返還金など。第一生命は詐取された一部を被害者に立て替え払いしたと説明している。

 全国紙社会部デスクによると、元社員は同社トップクラスの営業成績で、約4万4000人いる営業社員のうち、たった1人の「特別調査役」という肩書で定年退職した後も同社に残り、今年7月まで勤務していた。