コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
精神科医・樺沢紫苑氏は、著書『ストレスフリー超大全』の中でストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」によってわかりやすく紹介している。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー(この記事は2020年6月30日付け記事を再構成したものです)

「7割の人」が不安を感じている

「来週のプレゼンが不安です」

「寝る前に不安に襲われます」

「将来の人生が不安です」など、ある調査によると、「最近、不安を感じている人」は、7割以上に及ぶそうです。その対処法から説明しましょう。

そもそも、なぜ「不安」が起きるのか?

 脳科学的に「不安」の本質がわかれば、対処法は明快です。

 不安を脳科学的にザックリと言えば、ノルアドレナリンの分泌です。人間が緊張、不安、恐怖の感情を持つとき、脳内物質のノルアドレナリンが分泌されます。

 ノルアドレナリンは、「闘争か、逃走か」の物質と言われます。原始人がサーベルタイガーと出合った場面を想像してください。

 すでに相手はコチラに気づき、攻撃態勢に入ろうとしています。すべきことは、「闘う」か「逃げる」か、どちらかしかありません。ぼーっと突っ立っていると、殺されるだけです。

 闘争か、逃走か。ノルアドレナリンが分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります。

 そして、ノルアドレナリンとともにアドレナリンも分泌され、心拍数が上がり、全身に血液が行き渡り、いてもたってもいられない状態になります。全力で走って逃げるか、果敢に闘って打ち負かすか。ノルアドレナリンが引き起こす「不安」や「恐怖」が、ピンチを脱するエネルギーとなるのです。

 つまり、ピンチのときに「さっさと行動しろ!」とあなたを猛烈にせかす物質が、ノルアドレナリンです。

不安を減らすには「行動」しかない

 不安になるのは、必ず「ピンチの状態」「困った状態」のときです。そこから「早く行動して脱出しなさい!」というのが、不安の生物学的な意味合いです。ですから何もしないで、放置すればするほど、不安は強まります。

 布団に入って、「どうしよう、どうしよう」と悩み続けるほど、不安は強まるのです。多くの人の間違いは、悩みを抱え、不安な状態になったときに、「どうしよう、どうしよう」と思考停止のループに入ることです。行動を起こさない限り、いくら悩んでも絶対に問題が解決されることはありません。

 ですから、不安を消すことは簡単です。「行動する」ことです

精神科医が教える「不安がすーっと消える対処法」【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

 いきなり不安が「ゼロ」にはならないまでも、行動することで、不安は必ず軽くなります。「何もしない」と強まるだけなので、何かするだけで気分は変わります

 不安の源、ノルアドレナリンは「行動するためのエネルギー」、つまり行動の「ガソリン」です。

 不安というエネルギーを使い、行動を起こす。そうすると、ガソリンである不安は確実に減っていき、あなたはどんどん楽になっていきます