ウラン鉱山の操業を目指し、探鉱を続ける小規模企業の間で、ウラン購入という異例の動きが広がっている。10年間冷え込んでいた核燃料の市場は過熱の兆候を示し始めた。主に原子力発電所の燃料となるウランの市場は、2011年に福島第一原発事故が発生して以来、供給過剰に陥っていた。だがウラン生産大手2社が石油輸出国機構(OPEC)のような厳格な生産調整を続けた結果、状況が改善され始めたと鉱山会社や一部の投資家は話す。こうした楽観的見通しに加え、バイデン米政権や中国政府などは、世界的な気候変動対策において原子力発電が一定の役割を果たすとみている。投資家も動き始めた。カナダの探鉱会社デニソン・マインズや、米テキサス州に本社を置くウラニウム・エナジーは昨年末から株価が急上昇し、ウラン・原子力関連の銘柄を組み入れた上場投資信託(ETF)「グローバルXウラニウムETF」は昨年10月末に比べ78%高となっている。