資源価格の変動リスクを制御できるかが
企業業績を大きく左右する

 アルミニウム価格が上昇すると、何が起きるか。直接的に影響を受けるのは、個人ではなく企業になるだろう。

 消費者に価格転嫁が出来れば、資源価格上昇に伴う業績悪化リスクは低下することになるが、最終消費がそれほど強くない中では、そう簡単にはできない。最終的に価格転嫁をするにしても、その移行過程では企業側の負担が増加する可能性が高い。

 では、アルミニウムの価格上昇は、どのような産業への影響が大きいか。日本のアルミニウムの主要用途を見てみると、国内消費の4割を完成車メーカーや自動車部品製造業などの輸送用機械器具製造業が占めている。次いで建設、金属製品製造、食品容器、電気機械器具、という順になっている。

 日本は国内でアルミニウムを生産していないことから、海外市況の影響を強く受ける。法人企業統計を元に、輸送用機械器具製造業のアルミニウムを含む全ての仕入高と円建てアルミニウム価格を比較すると、両者の間には高い相関が見られる。

 つまり、アルミニウムをはじめとする非鉄金属の価格変化が、企業の仕入れに影響しているのだ。資源価格の上昇が顕著な場合、最終消費者への転嫁は容易ではない。付加価値が高い商品ではない場合、価格転嫁は需要の減少につながりやすい。

 脱炭素の流れが本当に継続するのであれば、これまで見てきたようにアルミニウムの価格は構造的に上昇する可能性が高まることになる。

 その中で、企業がアルミニウムをはじめとする資源価格の変動リスクをいかに制御していくかは、今後の企業業績を左右する重要な要素の一つとなるだろう。

(参考文献)
一般財団法人日本エネルギー経済研究所 牧田淳「米国の電気事業を取り巻く環境変化と事業者の適応」
一般社団法人日本アルミニウム協会「アルミニウムVISION 2050」

(マーケット・リスク・アドバイザリー代表 新村直弘)

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