「2021年の世界景気」はどうなるか、原油と銅相場から読み解くPhoto:123RF

バイデン新政権でも
急速な変化は起こらない

 2020年を振り返ると、まず、イランのソレイマニ司令官が米国に殺害されたことを受けた米・イランの開戦リスクから始まり、その後の米中の通商交渉の妥結を経て、年央・年後半に向けての景気回復期待が高まった。

 しかし実際は、コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、全く予期していなかった世界規模の都市封鎖が発生、今も各国間の移動には大きな制限がかけられている状態である。

 そして、このような異常事態の中、これまでは潜在リスク・潜在需要にすぎなかったものが、コロナをきっかけに複数顕在化した。

 例えば、鬱積してきた中国への不満が爆発して親米諸国・親中諸国の色分けが強まったことや、脱炭素に消極的だった国々が脱炭素への長期的な取り組みのアドバルーンを上げ始めたことなどが挙げられる。

 ただ、こうした変化も急速に起きるわけではない。

 親米・親中の色分けが強まっている流れは、バイデン大統領が就任しても変わらないとみるのが大勢を占めている。

 とはいえ、当面、バイデン政権は関係が悪化した欧州などの同盟国との関係改善に時間を割くと考えられ、とりあえず中国に対しては米国にとってもデメリットの多い経済制裁は緩やかなものになるだろう。

 また、トランプ政権時代に大きく変わった中東のパワーバランスの変化も緩やかになるのではないか。