脱炭素最強カード#予告編Photo:101dalmatians/gettyimages

世界的な脱炭素シフトにより、将来の成長ドライバーとなる産業の“切り札”が三つに絞られた。電気自動車(EV)、電池、半導体がそうだ。いみじくも、保護主義の高まりで、主要国・地域が自陣にキーテクノロジーを囲い込む技術覇権争いが勃発していたところに、コロナ禍が襲来。物理的に世界が分断されたことで、三大産業のサプライチェーン(供給網)を確保するための国家間競争が熾烈さを増している。脱炭素対策と経済成長をセットにして「ルールメーキング」を狙う欧米中に対して、日本陣営は大きく出遅れている。3月15日(月)から21日(日)までの全13回でまとめた『EV・電池・半導体 脱炭素の最強カード』では、背水の陣を敷く国内三大産業の活路を開く。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

#1 3月15日(月)
トヨタグループの出資圧力に反旗!ルネサスが巨額買収で見せた「自動車離反」の覚悟

脱炭素の最強カード#1Photo:Bloomberg/gettyimages

 従来、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは、トヨタ自動車など自動車メーカーの“従順なしもべ”だった。だが、その主従関係に変化の兆しが見え始めている。スマートフォンやデータセンター向けなどの旺盛な半導体需要を背景に、自動車メーカーが半導体の調達に苦しむ“買い負け”が起きているのだ。そのタイミングで、ルネサスは非自動車事業を拡充する巨額買収を敢行。ますます自動車メーカーのパワーが弱まることになりそうだ。半導体と自動車の間ではいつになく緊張感が高まっている。

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#2 3月15日(月)
電池が足りない!EV爆増と“欧州の罠”で悲鳴、半導体より深刻な「バッテリー欠乏危機」

脱炭素の最強カード#2Photo:picture alliance/gettyimages

 米欧中で「電気自動車(EV)シフト」が急加速している。遅ればせながら、日本政府も2030年半ばに新車販売の「ガソリン車ゼロ」方針を掲げたものの、日本の自動車メーカーやそのサプライヤーの動きは鈍い。とりわけ、日本陣営のボトルネックになりそうなのがEVの基幹デバイスとなる車載電池だ。欧米中は巨額の補助金支援で電池サプライチェーンの保護に走っている。民間企業任せの日本では、半導体不足以上に深刻な電池欠乏危機に見舞われそうな雲行きだ。

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#3 3月16日(火)配信
アップルカーをホンダと日産に依頼の過去、完成車メーカーに迫る「下請け化危機」

脱炭素の最強カード#3Photo:Jack Taylor/gettyimages

 にわかに、米アップルが手掛ける電気自動車(EV)プロジェクトの報道合戦が過熱している。世間の興味はアップルカーの製造委託先に集中しており、その候補として日系自動車メーカーの名も取り沙汰されている。アップルの「下請け」依頼を引き受ける自動車メーカーはどの企業になりそうなのか。アップル襲来に加えて、完成車メーカーには三つの構造的な危機が迫っている。

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#4 3月16日(火)配信
トヨタがケイレツ大再編!それでも日系自動車が陥る「内燃機関ガラパゴス」

脱炭素の最強カード#4Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

 欧州や中国が電動車の中でも電気自動車(EV)に注力している中、日本市場はハイブリッド車(HV)のシェアが高いことから「ハイブリッドガラパゴス」といわれる。トヨタ自動車やホンダが、主要国の自動車メーカーが追随できないレベルのHV技術を磨いてきたからこそ、日本市場の特異性が浮き彫りになってしまったのだ。いくら高い技術であっても世界標準を握れないのは皮肉なことだ。そして、近い将来、「日本はハイブリッドならぬ内燃機関ガラパゴスになる」という声が自動車メーカー幹部からも聞かれるようになった。その真意とは何か。

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#5 3月17日(水)配信
スズキは軽EV開発やる気なし!「軽自動車の父」修会長引退で問われる存在意義

脱炭素の最強カード#5Photo:Bloomberg/gettyimages

「軽自動車の父」として知られる鈴木修・スズキ会長が現役を退いた。同時に掲げた新たな中期経営計画では「軽自動車EV」の開発を掲げているが、その内実はかなり厳しい。これまで小さくてリーズナブルな車で勝負してきたスズキだが、「軽自動車EV」はEV市場の中でも最も攻略が難しいカテゴリーだ。EVシフト後の世界で、スズキが競争力を発揮できるのかどうかは、かなり厳しい情勢になっている。

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#6 3月17日(水)配信
ルネサス車載半導体責任者が激白「自動車メーカーとの主従逆転。それは誤りだ」

脱炭素の最強カード#6Photo:Bloomberg/gettyimages

 半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは、自動車事業よりも利益率の高い非自動車事業へシフトしている。「自動車離反」ともいえる動きに、ルネサスの自動車事業担当のキーマンはどう答えたのか。自動車メーカー向けのビジネスはどのように収益性を上げていくつもりなのか。自動車メーカーとの関係性や将来戦略についてトコトン本音を語ってもらった。

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#7 3月18日(木)配信
トヨタ・パナ電池連合に批判の嵐、「血税補助金」をドブに捨てるな!

脱炭素の最強カード#7Photo:Bloomberg/gettyimages

 経済産業省がトヨタ自動車とパナソニックの電池合弁会社などの車載電池向けに1兆円規模を超える金融支援を検討している。電気自動車(EV)の基幹デバイスとなる車載電池では、中国CATL(寧徳時代新能源科技)を筆頭に中韓勢による激しい投資競争が繰り広げられており、日の丸電池の再起を図ろうとしているのだ。だが、当の電池部材メーカーからはその「血税補助金」の使い道に批判の声が上がっている。なぜなのか。

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#8 3月18日(木)配信
台湾半導体TSMCの日本誘致へ向け神経戦、経産省が繰り出す「泣きの一手」とは

脱炭素の最強カード#8Photo:Bloomberg/gettyimages

 日本の半導体部材メーカーを支援する目的で、経済産業省が、世界最大の半導体ファウンドリーである台湾のセミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)を日本へ誘致している。だが、半導体の大需要国でもない日本へ生産拠点を誘致することは難しく、現時点では「後工程の研究開発拠点」を日本に設ける限定的なプロジェクトにとどまっている。そこで、経産省はプロジェクトの提携範囲を広げようと「泣きの一手」を繰り出しつつあるのだという。その秘策とは何か。

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#9 3月19日(金)配信
三菱商事、東芝、オムロンも群がる「再エネ電池」バブル、生き残りの鍵は価格破壊

脱炭素の最強カード#9Photo:mikkelwilliam/gettyimages

 世界的なグリーンシフトが加速する中、成長に期待がかかるのは電気自動車(EV)や車載電池の市場だけではない。再生エネルギー拡大の鍵となる定置用蓄電池やVPP(仮想発電所)といった新しい市場に、各社が商機を見いだしているのだ。もっとも、参入企業の期待とは裏腹で、それらの普及には高い壁が立ちはだかっている。成長市場を制するプレイヤーは一体誰なのか。生き残りの条件を探る。

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#10 3月19日(金)配信
自動車部品メーカー107社「EVシフト耐久度」ランキング、新規事業への投資力で明暗!

脱炭素の最強カード#10Photo:kevinjeon00/gettyimages

 ガソリン車から電気自動車(EV)へーー。EVシフトで最も打撃を受けるのは、エンジン部品やトランスミッションなど、ガソリン車にしか搭載されていない部品を製造している自動車部品メーカーである。研究開発費を電動化領域に投じられるような企業、事業構造の転換に積極的な企業はどれか。自動車部品メーカーの「EVシフト耐久度」で格付けした。

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#11 3月20日(土)配信
半導体製造装置で「国内生産の死守」を貫く理由、東京エレクトロン社長が断言

脱炭素の最強カード#11Photo by Kazutoshi Sumitomo

 東京エレクトロンは、最先端の半導体を作る上で不可欠な製造装置を手掛けている。そのため、米中対立が激化する中にあってはなおさら、半導体メーカーから海外進出の引き合いは強いはずだ。だが、河合利樹・東京エレクトロン社長は国内生産にこだわると言い切る。その理由は何か。

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#12 3月20日(土)配信
EVの業績底上げ・資金調達には「飛び道具」を使え!炭素税、IPO、ベンチャー投資…

脱炭素の最強カード#12Photo:Andriy Onufriyenko/gettyimages

 空前のグリーンバブルである。世界的な金余りと主要国の環境関連産業への補助金バラマキで、巨額マネーがEV関連企業にも流入している。そのため、旧来の自動車メーカーでも、ベンチャーに投資をしたり、米新興市場の投資先の上場益で資金を得たり、多種多様な「業績底上げ・資金調達」手段を駆使し始めている。賢い方法で次世代技術育成の「原資」を得ることもEVの乱世を生き抜くには有効な手段になりつつあるのだ。

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#13 3月21日(日)配信
日産出身の日本電産社長が鳴らす警鐘「日本でEVシフトが進まない致命的理由」

脱炭素の最強カード#13写真:毎日新聞社/アフロ

 EV(電気自動車)シフトに出遅れる日本の自動車産業の中で、独り気を吐いているのが日本電産だ。EV向け「トラクションモーターシステム」で勝負を懸けており、時価総額は7兆円を超えている。日産自動車から転身した関潤・日本電産社長に強気な将来戦略について聞いた。

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Key Visual by Noriyo Shinoda

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