ファンダメンタル分析1:
テーマ株かどうか

 株価の上昇に欠かせないものは、何よりも時流に乗っていることです。

 時流に乗っている株をテーマ株と言います。テーマ株とは、そのときどきに話題となっている材料に関連する銘柄のことを言います。

 たとえば、コロナ禍で「巣ごもり」といった言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。外出が規制される中で、家で過ごす時間が増えて「ゲーム」「マンガ」「映画」等を自宅で楽しむ方が増えました。この現象そのものが、株式市場では「テーマ株」となり「巣ごもり関連銘柄」という、1つのまとまりとして捉えます。

 その他、5G・6G、デジタルトランスフォーメーション(DX)、脱炭素・グリーンエネルギー、電気自動車(EV)、キャッシュレス、リモートワーク、遠隔医療,GIGAスクール構想など、最近の株式市場で好まれるテーマであるかどうかは、とても重要です。

 日頃からテレビや新聞・雑誌、ネットなどのメディア情報や、身の回りで流行っているものなどに敏感になることで、「テーマとなる可能性のあるトレンドをいち早くキャッチする力」が徐々に身についてきます。

事例:5G関連銘柄
 過去のセミナーで私が紹介した銘柄で、トレンドのテーマに乗った黒字転換2倍株の事例をご紹介します。2018~2019年にかけて、5Gの本命としてアンリツの株価上昇が注目されていました。2019年8月には、小池百合子東京都知事が5Gの通信網拡大に行政として乗り出す方針を表明。通信キャリア大手と連携し、基地局整備を加速させる構えを見せたことで、関連銘柄が強く注目される流れにありました。

 まさに、5G関連の中でも、通信計測器に注目が集まっている時期でした。そのトレンドの中で、アルチザネットワークスが、2019年9月5日の決算発表で、2019年7月期の経常損益が従来予想の1億4800万円の赤字から、6600万円の黒字に浮上すると発表したのです。このときの株価の値動きが下図です。

 その後、営業利益が一度赤字に転じるタイミング(2019年10月期)もありましたが(下図)、5Gのテーマに乗って業績拡大が見込めると予想でき、株価も一時的な値下がりを入れながら上昇しています。2021年1月15日(現在)で株価は17179円と1.8倍です。

黒字転換2倍株を<br />ファンダメンタル分析で見極める馬渕磨理子(Mabuchi Mariko)
経済アナリスト、認定テクニカルアナリスト
フィスコ金融・経済シナリオ分析会議 研究員
日本クラウドキャピタル マーケティング・未上場マーケットアナリスト
フジテレビ系列LiveNews αレギュラーコメンテーター
滋賀県出身。同志社大学法学部卒業、京都大学大学院公共政策大学院卒業、公共政策修士。2013年関西の某医療法人に入社後、資産運用トレーダー業務を始める。独力で財務・経営分析力を磨いた結果、資産を3倍にする。2015年独立系金融情報配信会社FISCOのアナリスに転身。上場企業の経営者を中心にインタビューし、個別銘柄分析や日本・韓国・米国経済等の市況分析に従事。入社当時、アナリストだった上司より「堅実な銘柄選定法」として「黒字転換2倍株」のノウハウを受け継ぐ。2017年からは日本クラウドキャピタルにも籍を置き、日本初の未上場マーケットアナリスト兼マーケティング担当として活動。雑誌・Webなど連載多数。「PRESIDENT」本誌にも多数記事を掲載。「プレジデントオンライン」の執筆記事は、2020年の半年間で累計6000万PVを超え、「日本一バズるアナリスト」ともいわれる。2020年11月ラジオ日経にて「馬渕磨理子の5分で教えて!ベンチャー社長」がスタート。初の著書『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』をダイヤモンド社から2021年6月16日に上梓。