米アーチャー・アビエーションが開発中の自社製品は4人乗り電動エアタクシーが唯一のものだが、まだ規制当局の承認を得ておらず、量産体制が整うまでに数年かかる。売上高もゼロだ。それでも、創業して3年になる同社の共同創業者は先月、多額の報酬を受け取った。彼らは9900万ドル(約113億円)相当の特別株を付与されたが、もしアーチャーが複数の目標を達成すれば、4倍に増えるという――9月17日の新規株式公開(IPO)を控えた時期に、彼らが交渉を通じて勝ち取った報酬パッケージのおかげだ。シリコンバレーはここ何年も、米国企業の報酬の慣習に従わない場所として知られてきた。創業者はほとんど取り分を求めず、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)やアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス前CEOなどが、多額の株式報酬や給与を受け取ることはなかった。その代わり、創業時から保有する株式の値上がりで利益を得ていた。