企業が物を売るのに苦労する――最高の資産さえ売れない――というのは、決して良い兆候ではない。経営難に陥った不動産デベロッパーの中国恒大集団は今、ほとんどそうした境遇にある。政府が土壇場で考えを変えない限り、正式なデフォルト(債務不履行)は避けられそうにない。中国恒大のさまざまな資産を巡る複雑な金融面のつながりを解くことも、同社の事業再編をさらに遅らせ、中国の不動産市場に吹く逆風を強める可能性がある。中国恒大は20日、不動産管理部門の恒大物業集団を巡り、買収に関心を示していた同業の合生創展集団(ホプソン・デベロップメント・ホールディングス)との協議が物別れに終わったことを明らかにした。計画では、中国恒大が持つ恒大物業の株式50.1%を26億ドル(約2960億円)で売却する予定だった。これは今月に入り取引停止になる前の恒大物業の株価を28%下回る水準だ。中国恒大の株価は21日の取引で13%急落した。