英国は今夏、新型コロナウイルス対策の制限をほとんど解除し、世界が注目する「実験」に乗りだした。ワクチンや過去の感染による免疫力がウイルスの防波堤になると賭けたのだ。それから3カ月。感染力の高いデルタ変異株に直面する中、英国の実験は集団免疫がつかみどころのないものであることを物語っている。冬が近づくにつれ、ここ数週間に新型コロナの感染・死亡者数は増加している。結論はこうだ。もともと不完全で、時間とともに衰えていく免疫力に頼っても、そう簡単にはデルタ株に勝つことはできない。キングス・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授(遺伝疫学)は制限解除について、「ワクチン接種と自然免疫によって、早々に勝利できると期待して行われた」と語る。「それだけではうまくいかないということが分かった」